友人

俺はその(攻撃した)相手を良い友人だと思い、その友人とこれからも仲良くしていきたいと思っていた。
異性ということもありある程度の距離を置いていたが、同性だったら親友になれるのになぁ、と思っていた。その時ほど割り切って異性と付き合えていた時はなかった。
「異性と友人を作ることはできないのか」と友人に相談された時、その当時の俺は言った。「なれるさ。なんたって、俺にはこんなに同性より信用でき、かつそのような感情を抱かないでおける友人がいるからね」。だが、俺はその相手に、友とすら見られていなかった。
「オマエなんて友ですらない」と俺は目の前で宣言された。「オマエなんて私の体が目的なのだろう。」俺は驚愕し、茫然とし、落胆した。
 勿論、ここで複雑な異性心理の話をするつもりはない。その話は科学的ではない怪しげなユングレヴィナスの思想を挟まざるを得ないからだ。少なくとも、私は全く信用されていなかったということだ。私は道具として使われていたということだ。先の事件は今は大物と謡われる某氏の前で行われたが、その人物とその場も「君に紹介したい人がいる」と言って連れていかれたものだ。受検関係で恩義を受けていたものの、それだけで知らない人のところには行かなかっただろう。俺は
その人物を含めたゲーム仲間として「有用かどうか」テストするために連れてこられ、その結果「不要」として捨てられた。
俺はその相手が、人を利益不利益で判断する人物であることを認識し、その人物と一切の関係を絶った。そのように割り切れる人が嫌いだったからだ。謝罪はその相手を傷つけたその時だけだった。礼儀を知る今なら、十分に謝罪し、関係の修復といかないまでも許しをこうてから、徐々に連絡を絶ち"失踪"する。